手形アートを始めたきっかけ
私のお仕事。
それは。
ワークショップなどで、みなさんの手形アートの作品づくりをお手伝いをさせていただくこと。
作品をつくること。
今日は私がそんなお仕事をはじめたきっかけについて、お話したいと思います。
ちょっと長くなりますが、おつきあいいただければ幸いです。
もともと私が手形アートをやってみようと思ったのは、インターネット上でこどもさんの手形や足形を用いた作品を見かけたからでした。
原色の絵の具で取った手形や足形に、同じく原色の絵の具で描き込みの行われている作品でした。
ただの手形が、何だかかわいくなっている。
私もやってみたい!
単純に、そう思いました
そこから、あれこれ作品を試作。
誰かと同じ作品ではなく、私らしいオリジナルの作品を。
そう考えて。
柔らかであたたかみのある雰囲気を持つパステルカラーをセレクト。
育児中のママにも簡単に楽しくつくれる作品にしたい。
でも赤ちゃんの手形を取るのはとても難しい。
そこで赤ちゃんの手形をより簡単に取ることができる塗料を研究しました。
絵の具もインクも、その他の道具もかなりの種類を試しました。
あちこちメーカーさんに問い合わせたりもしました。
そうして塗料が決まりました。
そして、簡単さを損なわない一方で、おしゃれな雰囲気も出したくて、作品にマスキングテープを取り入れることを思いつきました。
ただし、メインはおこさんのおててやあんよ。
それら本来の形を損なうことのない、手形・足形の原型をとどめたモチーフがいいな。
できるだけシンプルで、でもせっかくならちょっと目を引くおしゃれな作品をつくりたい。
そんなことを考えながら、少しずつ、オリジナルのモチーフと制作手法を考案。
そんなこんなでようやく今の形になりました。
手形アートをしています。
と言うと。
何ですかそれ?
というところからはじまり、
美術を専攻していたの?
とよく聞かれます。
いいえ。
私、美術大学出身でもなければ、デザインを勉強したこともありません。
大学・大学院ではずっと日本文学を研究をしていました。
当初は研究職を志していたので、マニアックな専門書などと格闘する日々。
旧姓ではありますが、何本かの論文は専門誌へ掲載され、今でも時折先行研究として用いられているようです。
なので、どちらかと言えば、そちらの知識の方がまだ少しはあるかと思います。
絵を描くことも好きですし、美術館とかも好きですが、知識豊富なわけではありません。
ただ、手形アートをはじめるにあたって、たくさんの作品をつくり、たくさんの研究をしました。
とても多くの時間を費やしてきました。
これ、かわいい!
それがきっかけの手形アート。
自分でやってみたら、予想以上に楽しくて。
これは他にもやってみたい人がたくさんいるはず!
手形アートをもっともっといろんな人に知ってほしい!
親子で作品づくりを楽しんでほしい!
そう考えたのが始まりです。
でも。
本当にただそれだけかと言われたら、それもまたちょっと違います。
私が手形アートをはじめた根底にある想い。
それは。
楽しい時ばかりではない育児。
だからこそ、それを少しでも楽しいものにしてほしい。
そんな想いです。
育児ってはっきり言って大変です。
全然楽しくない時もたくさんあります。
全然楽しくないなんて、ちょっと大げさかな?
でも、私にとってはあながち嘘でもありません。
お腹を痛めて産んだわが子。
とってもかわいい。
とっても愛おしい。
大切な大切な存在。
もちろんその想いに変わりはないけれど。
いいことばかりじゃない子育て。
こどもと毎日24時間一緒の毎日。
なんだか疲れた気分になる時もある。
煮詰る時もある。
泣きたい時もある。
私がそうでした。
今、私にはふたりのこどもがいます。
親バカですが、私にとっては世界一かわいいこどもたち。
ふたりともかけがえのない存在です。
でも、はっきり言ってお世話は大の苦手です。
ご飯も手抜き。
つきっきりで遊ぶとすぐに疲れます。
育児でストレスのたまる性格です。
批判を受けることを承知で言うなら、こどもたちはかわいいけれど、育児は苦手だし好きじゃありません。
私には母性が足りないのかな?
こんな母親でごめんね。
と思うことは今でもよくあります。
でも。
そんな私だからこそ分かることもあります。
育児が大変・辛いって思うことのある人。
こどもとずっと一緒の毎日に、何だか煮詰った気持ちになってしまう人。
そんな人は他にもきっとたくさんいる。
みんな口にはしないだけ。
ただ。
こどもがかわいくない人はいない。
それもまた揺るがない真実。
だったら、私と同じような気持ちを抱いたことのある人に、今日はちょっとだけ育児が楽しかったなって思ってもらうことはできないかな。
いつもよりこどもを愛おしいって感じてもらう機会をつくることはできないかな。
大きなことはできないけれど。
こどもと過ごすいつもの毎日にちょっとした彩りを添えるお手伝いくらいなら、私にもできるかもしれない。
そんな想いで手形アートをはじめました。
普段は気にかけるとのない、おこさんのおててやあんよに目をとめることで。
今この瞬間のおこさんの幼さ・ちいささを、実感してもらえたらいいな。
おこさんのかわいさを再認識するきっかけになったらいいな。
そして。
手形アートの作品づくりの時間が、みなさんのちょっとした気分転換になればいいな。
育児を楽しむひとつのツールになればいいな。
おこがましいかもしれませんが、それが私の根っこにある願いです。
なので、正直に言うとその手段は手形アートじゃなくてもいいのかもしれません。
ただ。
私にできることは何か。
他の人よりちょっと得意なことは何か。
私自身が楽しみながらできることは何か。
それを考えた時に思い浮かんだのが、手形アートだったんだと思います。
まだまだ未熟者の私ですが。
いつもより育児がちょっとだけ楽しく思えて。
おこさんを愛おしいと感じられる。
手形アートを通して、そんな時間づくりのお手伝いをさせていただくことが私の願いです。
みなさんとのご縁を大切にこれからも頑張っていけたらいいなと思っています。
よろしくお願いします。
長文読んでくださってありがとうございました。
*2016年3月3日にアメブロへ記載した記事を、現在はこちらへ移行しています。